Rework Support Network(リワサポ)とは
1.リワークの現状と課題
メンタルヘルス不調による休職者への職場復帰支援は、2000年頃から徐々に「リワーク」とよばれるようになりました。リワークという支援のありかたは社会のなかで着実に浸透し、現在では医療機関のみならず、就労支援施設、障害者職業センター、EAP企業など、さまざまな機関によって提供されています。リワークが広まり、その支援を必要とする方々がアクセスしやすくなったことで、より確実で安全な職場復帰を果たすことができたケースはいくつもあるでしょう。そのために支援者が積み重ねてきた努力や苦労は並々ならぬものがあり、このおよそ20年間にわたる取り組みの大いなる成果とよべるのではないでしょうか。一方、さまざまな機関でリワークが提供されるようになったことで、支援内容や従事する支援者も多様化し、同じようにリワークと掲げられていながら、その支援の質や方向性にばらつきが生じているという課題からも目を逸らすことはできません。
医療機関、福祉施設、独立行政法人、企業などはそれぞれ異なる制度のなかでリワークを運営しているため、提供できる支援には違いがあります。また、そこに従事するスタッフの専門性や配置もさまざまです。これらの違いによって、多様な支援サービスが提供されるようになり、利用する方々の選択肢が増えたという意味ではメリットと考えることもできます。しかし、十分な理解や知識のないままにリワークを謳い、提供すべきプログラムの質が担保されずに運営し続けている施設があることも事実です。リワークの支援現場に携わる私たちは、あらためてこれらの問題と向き合う必要があるのではないでしょうか。
2.リワサポの設立
このような実情の背景にあるもっとも重要な点は、運営機関の制度や職種の違いを越えて、コメディカルスタッフ(医師以外の支援者)が広く緊密に連携し、情報共有や意見交換をする場がなかったということにあると考えられます。これまで、リワークの多くは医師の主導によって推し進められてきました。しかし、ほとんどのリワーク施設において、実際にプログラムを運営し、直接的に支援をしているのはコメディカルスタッフではないでしょうか。いまあらためて、私たちコメディカルスタッフがリワークの中心的役割を担っていくことを自覚し、その責任において今後の発展に向けて自発的に研鑽の場を作り上げていくことが必要です。
3.ぜひ、リワサポの仲間に
当会は、上記のような問題意識から、医療リワークにおいて長年支援を実践してきたコメディカルスタッフ数名が発起人となり、設立の準備が始められました。その目的は、医療以外でリワークを実践するスタッフも一緒になり、多様化するリワークの実情を共有し、ともに切磋琢磨する場を作ることにあります。運営機関、職種の違いにかかわらず、リワークに携わる一人としてご参加いただき、リワーク全体の質的向上を目指すとともに、支援者一人ひとりの地位向上にも貢献していくことができるよう願っております。